「農業女子」という言葉もできたほど、農業をしている女子がメディアで取り上げられることは増えた。かくいう私も3年ほど前から稲作を始めたので農業女子、もとい、農業おばのひとりなのかもしれない。現在は夫の力を借りて稲作をしているが、万が一、夫がいなくなったらひとりで米農家になれるのだろうか?
答えはNOだ。
正確に言うと、「現在の私のスペックでは、女ひとりで米農家にはなれない」が答えである。
しかし、近年はブログやSNSで発信を続けている農業女子も少なくない。どんな女性であれば、ひとりで米農家になれるのかを以下に羅列してみた。

↑あともう少しでコンバインのトラブル発生!の図。
女ひとりでも米農家として成立する人物像 チェックリスト10
①朝に強い
②虫や爬虫類が好き
③体力がある
④力持ち
⑤運転が得意
⑥メカに強い
⑦コミュ力が高い
⑧精神力が強い
⑨貯金がある
⑩事務作業が得意
これをすべて持ち合わせていれば、女ひとりでも稲作で食べていけると私は思っている。
これがどういうことなのか? 説明してみよう。
女ひとりでも米農家として成立する人物像 解説編
①朝に強い
稲作のピークは夏。気温が上がりきる前の数時間が勝負で、日の出とともに田んぼの水を見に行き、暑くなる前に草刈りや畦の見回りを済ませておくのが鉄則だ。酷暑という言葉が生まれた昨今だが、朝10:00以降に田んぼ作業をして軽く熱中症になりかけたことも。夜型の方は就農に向いていないだろう。
②虫や爬虫類が好き
田んぼにはカエル、ゲンゴロウ、イナゴ、ヒル、まで、都会暮らしでは滅多に出会わない生き物がひしめいている。畦道でヘビと鉢合わせても悲鳴を上げて固まっていては仕事にならないし、稲につくカメムシやウンカを見つけて「気持ち悪い」で終わらせず、害虫処理ができる冷静さが必要となる。
③体力がある
中腰での草取りや水の管理、猛暑の中での稲刈り作業など、体力勝負の場面は数え切れない。草刈りは早朝にこなせるが、稲刈りだけは稲が乾燥した日中でしか作業ができない。休憩を挟みながらでも、夏の炎天下で何時間も動き続けられる基礎体力が前提になる。
④力持ち
収穫した米は最終的に30kg単位の袋で保管・出荷することが多く、軽トラの荷台やコンテナへの積み下ろしは毎回この重さとの格闘になる。腰を痛めない持ち方を覚える以前に、そもそも持ち上がらなければ話にならない。また、保冷庫に積み込む際、一番上は肩より上の位置になるので、できればその米袋を頭上まで持ち上げられるほどの力持ちであった方がよい。
⑤運転が得意
最近の軽トラはオートマ限定でも運転できるので、公道を走る能力があれば運転自体はできる。しかし、田んぼまでの道は狭いことが多く、未舗装路であることも少なくない。また、畦道ギリギリでの幅寄せも求められるし、収穫期にはコンバインやトラクターの操作もこなす必要がある。免許の有無ではなく「狭い道でも動じない運転感覚」があるかどうかが分かれ目だ。
⑥メカに強い
田植え機や乾燥機、精米機、色彩選別機など、稲作は機械だらけだ。トラクターやコンバインを乗りこなすことは大した技術ではなく、それをメンテナンスできるかが問われる。トラブルは決まって繁忙期に起きるもので、その都度メーカーを呼んでいては作業が止まってしまう。簡単な不具合くらいは自分で見極めて対処できる、機械への抵抗のなさが求められる。
⑦コミュ力が高い
農地を借りていれば地主とのやり取りが発生するし、水路の管理や共同作業は近隣の農家との連携なしには成り立たない。また、機械トラブルが発生した際は、近隣の農家に知恵を借りることもある。JAや農機具屋、精米所とのやり取りも一人で担うとなると、コミュニケーション能力は必要。
また、ひとりで田んぼを営むとなると、田植えや稲刈りを友人にお願いするといったケースも発生するだろう。たった1~2日のお手伝いとはいえ、田んぼに関しては言葉の御礼だけで済む作業ではない。御礼をお金で返すのか、米をプレゼントするのか等、気遣いができる人であった方がよい。
⑧精神力が強い
自然の力によって収量が左右され、台風や長雨、獣害で一晩にして努力が水の泡になることもある。うまくいかない年があっても翌年また同じように作業をし続けられるかどうかは、技術よりもメンタルにかかっている。
⑨貯金がある
農機具は新品なら数百万円から数千万円単位。中古でも1台数十万円から数百万円することも珍しくなく、修理費や燃料費、資材費も年々かかる。収穫まで収入がまったくない期間を乗り越えるには、ある程度の蓄えが不可欠だ。
⑩事務作業が得意
収支の記録、確定申告、補助金の申請書類など、栽培そのものと同じくらい事務作業がついて回る。数字と書類に強くなければ、稼いだはずの利益がどこに消えたのか分からなくなる。特に、直売をするならば、デザインから経理までできた方がよい。

↑文章をもとにAIに作ってもらったイラスト。
稲作は誰かの力が必要
当初は「夫の力を借りずにできたら」などと思っていたが、3年間稲作を経験してみて、現在の私ではとうてい一人でできることではないと実感した。しかし、将来的にはどちらかが一人になる時はいずれ訪れるはずだ。数年かけて十の条件を達成できるように努力したい。
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