米農家の廃業、過去最多ペースに。小さく稲作している私が思うこと

コメ農家の撤退、過去最多ペース 1~8月の倒産・廃業32件 田んぼ

「コメ農家の撤退、過去最多ペース」

コメ農家の撤退、過去最多ペース 1~8月の倒産・廃業32件:中日新聞Web
2026年1~8月に廃業や倒産で事業を撤退したコメ農家が全国で32件に上ったことが分かった。民間調査会社の帝国データバンクが21日まで...


そんな見出しが目に留まった。2026年1~8月、廃業や倒産で事業から撤退したコメ農家は全国で32件。高齢化や生産コストの高騰が主な要因だという。年間で最多だった2024、25年と同水準のペースで推移しており、今後4カ月でさらに件数が積み上がる可能性もあるらしい。

これは他人事ではない。ここ数年、実家の田んぼで米を作っているからだ。

とはいえ、我が家は大規模なコメ農家ではない。実家には田んぼが6枚あるものの、私たちが営んでいる田んぼは1枚だけ。ほかは他者に委託している。

また、自宅から実家までは車で片道2時間、いわゆる週末農業だ。そんな小さな米作りをしている立場から、「米を作る」ということについて今回は書いてみたい。

廃業・倒産、過去最多ペースの中身

帝国データバンクの調査によると、2026年1~8月に確認された米作農業の廃業は28件、負債1000万円以上の倒産は4件、合わせて32件。1~8月の数字としては高水準で、年間最多を更新する可能性があるという。

背景にあるのは、高齢化や生産コストの上昇、そしてコメ価格の乱高下だ。2024年夏の「令和の米騒動」以降、コメの価格は大きく上昇した。スーパー店頭のコメ5kgの平均価格は一時4,416円まで上がったが、2026年に入るとコメ余りから一転して下落。9月7~13日には約2年ぶりに2000円台まで落ちたという。

作る側からすれば、価格の乱高下は笑えない話だ。肥料、農薬、燃料、農機具――米を作るにもお金がかかる。実際、我が家でも昨年はトラクターを買い、今年はコンバインや乾燥機、もみすり機を親戚から格安(といっても数十万単位)でゆずってもらった。精米や色彩選別、機械のメンテナンス費や燃料代を積み上げれば、決して小さい額ではない。

そしてもう一つ、この記事で気になった一文があった。

「零細農家や兼業農家は含まれていない」

32件という数字は、あくまで農業法人や比較的規模の大きい個人経営が対象。つまり、我が家のように小さく営んでいる田んぼは、そもそもこの統計に入っていない。だとすれば、実際に「米を作る人」が減っている規模は、この数字よりもっと大きいのかもしれない。

「農家」と名乗れるほどではない、私たちの米作り

我が家は正直、農家と名乗るほどのものではない。実家にある田んぼ1枚で米を作っているだけだ。しかも普段は名古屋で仕事をしているので、田んぼのある実家までは片道2時間ほどかかる。毎日見に行くことなどできない。

そんな状態で米作りを始めて、今年で3年目になった。

田植えをして、藻が大量発生して、除草剤をまいて、中干しをして、水を入れて、畦の草を刈って、雑草を取って、また水を見に行って――。今年も何度、田んぼに通ったことだろう。しかも片道2時間なので、「ちょっと田んぼを見てくる」が丸一日仕事になる。週末農業は、想像より甘くない。

それでも米を作っている理由

それでも続けているのは、もともと「自分たちが安心して食べられる米を作りたい」という、単純な動機からだった。

以前は実家の田んぼの米作りを人に任せていたが、仕事で田舎に行って生産者さんを取材したり、実家周辺の耕作放棄地を見たりしているうちに、「将来、米はヤバイことになるのではないか」と思うようになった。それで一念発起し、自分たちでやってみようと思い立った。完全に無農薬というわけではなく、今年も田植え後に初期除草剤を1回使っている。ただ、その後は殺虫剤などを使わず、田んぼの状態を見ながらできる範囲で管理している。「農薬不使用」とか「有機栽培」という言葉にも惹かれるが、実際に田んぼを営んでみると、それはなかなか難しいことだと気付かされる。しかし、自分たちが田んぼに何をしているかを把握していることが大切だと思っている。

米作りを始めてから、スーパーの米の見え方も変わった。以前は「5kgで○○円か」としか思っていなかったが、田植えから水の管理、草取り、稲が倒れていないかの確認を経て、秋にようやく収穫するまでの過程を知ると、「米5kg」という袋の中に、思っていた以上にいろいろなものが詰まっていることを実感するようになった。

細々と直売を開始

そんな小さな我が家の田んぼだが、1枚栽培すると、自分たちだけで食べきることができない。そこで、自宅の近所の人だけを対象に直売をしてみることにした。正直、ご近所と米を売り買いすることには迷いもあった。また、人に米を売るというのは緊張感があることを思い知った。

農協などを通して出荷するのと、自分の名前で直接販売するのとでは、商品の見え方がまったく違う。斑点米(虫食い)や焼け米、小石が残っていたらどうなるのか? そのリスクを食い止めるため、色彩選別器や石取機能付きの精米機にかけるが機械には限界がある。農協であれば、リスクがなくなるまで色彩選別などを続けるのかもしれないが、我々のような零細農家にはそれは難しい。袋詰めする際も目視で黒い米や石がないかチェックしているが、これが地味に辛い。袋詰めをするころには目がショボショボしている。

価格の付け方一つとっても、苦悩する。

2026年産米では、JAが農家に前払いする概算金が前年から大幅に下落した地域もある。佐賀県では主要品種が前年の半額近くになったとの報道もあった。消費者はその数字をどのように捉えているのだろうか?SNSをのぞいてみると、報道された概算金がそのまま店頭価格になると思っている人も少なくない。しかし、その金額で売買を続けたら、いくら小規模でも赤字になってしまう。どれくらいの経費と手間賃をプラスすべきか? 直売することで手間や考えることが一気に増えた。

正直、農協に出荷した方が、心身共に安楽だ。

直売については、また日を改めて書くことにしよう。

「米を作る人」がいなくならないために

今回のニュースを読んで、米農家が大変な状況にあることは分かった。ただ、それだけではない。

自分で米を作ってみたことで、「米を作る人がいる」ということ自体が、当たり前ではないのだと、少し実感できるようになった。我が家のような小さな田んぼが、そのまま日本の農業を支えることにはならない。米価の問題も、高齢化の問題も、農業機械の問題も、私に簡単に解決できるものではない。

↓AIに、このテキストをもとにイラストを作成してもらったら、暗い仕上がりに。

米農家の廃業、過去最多ペースに。小さく稲作している私が思うこと

↓もう少し明るい仕上がりにとお願いしたら、このようなイラストがアップされた。

米農家の廃業、過去最多ペースに。小さく稲作している私が思うこと

それでも、自分たちが食べる米を自分たちで作ってみる。できた米を、欲しいと言ってくれる人に少し分ける。その際、「この米はこうやって作りました」と伝える。今の私にできるのは、そのくらいだ。

妻
妻

今後はご飯のおいしい食べ方、活用法なども伝えられるといいなと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました